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投稿タイトル ◆中央アルプスを越える鳥たち
投稿内容  今年の5月8日に「千畳敷カール内で、雪の上に20羽ほどの小鳥が死んでいた」という情報が宮田村の池上政利さんから来た。写真を見ると、死後数日経過したと思われるほどに、目が落ち込み、体も周りの雪を溶かし5cmほど沈み込んでいた。写真で判別できたのは、キビタキの雄と雌である。おそらく5月3日~5日にかけての天候悪化で死亡したのだろう。
 5月3日、3人の遭難者を出した北アルプスの槍ヶ岳では、正午の気温が氷点下9.4℃、瞬間風速は30m程に達していたという。おそらく、千畳敷も同じような気象状況であったと考えられる。天候が回復した山麓からは、それまでクッキリと千畳敷カールの南側に出現していた島田娘の雪形の輪郭がぼやけるほどに雪が降った。
 こうしたキビタキの死亡は2010年5月1日にも、堺澤清人さんにより確認されている。堺澤さんの話では、前日の夜はエビのシッボができるほどの強風が吹き荒れた天候で、翌朝の気温は-6.6℃と異常に低く、日中でも-3℃という状態だったという。
 紅葉が始まる9月下旬からも中央アルプスを越える鳥たちがいる。特にヒヨドリは、100羽程の群れをつくり、中央アルプスの鞍部となっている木曽殿越を次から次へと木曽谷へと向かっていく。時には、木曽殿山荘の屋根ほどの高さを飛行していく群れもいる。移動は天気のよい時に限られ、早朝6時ころから行われる。鳥たちのこうした行動は、特に前日の天候が悪かった朝に多い。これまでにツバメやウソ・ヒワ類といった群れが、11月初旬まで木曽谷方面に渡っていくことが確認されている。またこれとは反対に、木曽谷から伊那谷に向かって中央アルプスの稜線を越える鳥たちもいる。
 この時期、千畳敷周辺でも繁殖期には見られなかった鳥たちの通過が観察される。これまで確認したものだけでも、イソヒヨドリ・シジュウカラ・コガラ・ノビタキ・ヒヨドリ・アトリなどがいた。これまでにも、鳥たちの渡りの時期が天候悪化と重なった時には、人知れずに命を落としていた鳥たちがいたのであろう。今、日本で子育てを終えた夏鳥たちが、南に渡っている。鳥たちにとっての渡りとは、自分たちの子孫を残そうという生死をかけた過酷な行動といえる。
(写真:雪上に落ちていたキピタキの雄)
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